2021年2月号

モノ忘れに鉛筆が効果?

 

 文字を「打つ」ことはあっても、「書く」ことを忘れた時代になったようだ。そのせいか、あれほど世話を受けた鉛筆も“遺物的”な存在になりつつある。仕事柄、今も鉛筆は重宝しているのだが消費量の激減、ちょっとばかり寂しい。

 「ふでばこ(ふで入れ)」。昔は何本もの鉛筆や消しゴムの入れ物をこう呼んだ。形は箱型でブリキ素材。今は「ペンケース」と言われ、軽いビニール製が主流になった。カラフルなそれらのケースには鉛筆に代わり、数本のシャープペンシルが首座に収まっている。

 小学低学年の筆記用具は、三角軸を含め鉛筆が主らしい。学年が進むにつれ、シャープペンシルに移行し、中・高・大学生もこの組だ。加えて、技術の急進、ペーパーレス時代を迎え、鉛筆の生産量は昭和30(1955)年代以降、減り続け、現在はその10分の1程度らしい。

 過日、仕事用として1ダースほど鉛筆を購入した。しかし、店の棚から減っている様子はさほどみられない。知識習得に側面から大いに協力してくれたのは、鉛筆たち。割高の感だが、もっと利活用したらどうか。特典は多いはずだ。

 パソコン、スマホの急伸で文字忘れが甚だしい、とは同輩たち。苦笑を交えながら嘆く。文字は「書くほど覚える」のが道理。モノ忘れ防止にも鉛筆が効果を発揮すると思うのだが。  (編集長)