2021年5月号

 “麻薬OK”? 冗談でしょ

 

 一般に麻薬と呼ばれる物の中には、さまざまな種類がある。国内では医療用以外はご法度だ。折も折、米国の一部の州では大麻(マリファナ)が嗜好(しこう)品などとして合法化され始めた、という。理由はいろいろあるらしいが、この“英断”、思わず、首を傾げてしまった。

 もう10年以上も前。中央アジアを代表する観光国家、ウズベキスタンを旅した。さまざまな歴史を持ち、シルクロードの中継地としても知られた国だ。都市から少し離れた原野のその道を知人らとのんびり歩いていたところ、一面に色鮮やかな美しい花が咲いた地があった。

 見事な光景に感動を覚えつつ、ガイド氏に聞いたところ、「ケシの花だよ」。近隣には紛争好きな国々もあるため、まさかと思いながらアヘンでも採取しているのかと尋ねたら、「いいえ、すべて観賞用ですよ」。

 麻薬類の“原料”は世界、至るところにある。利活用するのは人間であり、日本でも違法によっての事件や事故は枚挙にいとまがない。こうした中、人種、経済問題に絡めて栽培、娯楽用OKと州単位で合法化に踏み切った米国の措置、どうも釈然としない。冗談ではないか。

 麻薬類は「毒にも薬にもなる」。しかし、言うまでもなく過剰に摂取すれば心身に異常をきたすことは自明。それらに求める愉楽・快楽は、たちまち“狂気”に直結してしまうのだ。    (編集長)