2021年11月号

創刊30年、まだ発展途上

 本誌を創刊して29年が過ぎ、今号から30年目に入った。正直のところ今も毎号発刊するたび「やれやれ」だが、息つく暇なく、次号の調整、次々号の段取り。「世の中に楽な仕事はない」。この言葉、頭のど真ん中に棲みついて離れた日はない。

 「それをやりに俺は生まれてきた。そのことだけを考えればいい」。米の作家、A・ヘミングウェーの名著『老人と海』の一節だ。創刊当初、気負ってこんな言葉を書き連ね、いわきを中心に、メンバー制を採用して始まった。記事内容は今と変わらず、人を中心とした地元密着型。

この間、筆記用具も大きく変わった。4Bの鉛筆からボールペン、ワープロを経てパソコン時代へ。販売部数も常時、増減を繰り返して“低空飛行”。先の東日本大震災時は本誌の発行が遅れ、経営は土俵際まで追い詰められたが、『震災総集編』を臨時発刊、ギリギリしのいだ。

 「山は頂上が見えないほど高く、谷は深く真っ暗」。紙媒体はこんな状況が常態化して長い。本誌もまた同様だが、支えてくれる読者も多く、励ましのはがき、メールも少なくない。本誌は今後も市民の身近にある良質な情報を取り上げ、淡々と進みたい。

 私事だが、新聞記者時代を合わせ、モノ書き仕事も間もなく半世紀。これまで多くの人と出会い、語り、仕事の糧としてきた。本誌はまだ発展途上。今後ともご愛顧、宜しくお願いします。  (編集長)