2021年12月号

闇鍋はもうたくさん

 鍋のシーズンになった。中身はいろいろだが、熱々の鍋を囲めば、日ごろのウサも吹き飛んでしまう。社会は昨春以来のコロナ禍によって“闇鍋”状態。な日常続きだったが、間もなくの新年。誰もが歓迎できる鍋を大流行させたい。

 鍋は種類が多い。今が旬のカキ、肉や魚、野菜類がたっぷり入ったものなど、めじろ押し。この季節にはもってこいの食であり、自宅で、あるいは気の置けない仲間たちと一緒に1年を振り返るのは冬季の恒例行事だ。

 その鍋、昔は生活困窮者救済というな具入りの「社会鍋」もあった。今はコロナをメーンに、ナマ煮えの五輪、政治不信、諸物価値上げなどなど、うんざりする具ばかり。とても箸など付けられたものではない。

 それにしてもこの1年半は国中、疲労。右往左往する政治の影響下、社会活動も鈍化。秋以降、やっとワクチン接種率が高まったとはいえ懸念材料は多い。だが、嘆いてばかりはいられない。災いを成す具は処分し、「希望の鍋」をテーブルに乗せる努力をしないと。

 休日。1人、編集部でれたてのコーヒーを飲みながら新聞を広げる。“至福の時”の中、この1年をたどってみた。と、そよ風にも揺れるの葉上の水滴のような年だったことに気づいた。暮れにはいつもながら除夜の鐘の音が響き渡る。穏やかな年の到来を願おう。  (編集長)