2022年3月号

大人の口論、子どもの口論

  よく、話す。いや、しゃべる、と言った方が適切だろう。特に、テレビのニュース番組に出演し、まくしたてるコメンテーターのメンメン。有識者であることは間違いないとは思うが、司会者をよそに口角泡を飛ばす彼(彼女)らの論調や持論が、このごろ目に余る。

 コメント。仕事柄、昔は談話と言った。何かの取材の折、上司からは「必ず責任者らの話を取ってくるように」と、きつく言われたものだ。つまり、書いた記事に対して厚みや重みをもたせると同時に、裏付けとするためだ。
 そのコメントが変じたのだろう、コメンテーターとの呼称が流行し、テレビ出演を重ねる人材が目立つ。ニュース番組に多く、専門外にもかかわらず、したり顔で“咆哮”。偏り、激論が高じて口論に至るケースも。あきれる。
 漫才、落語家は話すのが仕事。これは理解できるが、古来、この国の風土、文化の一部には「沈黙は金」「男は黙って…」がある。ゆえに、饒舌な人間は好まれず、信頼度も低い、との“社会通念”が根強く残る。もちろん、そんな番組への対応策は、チャンネルの即時切り替えだ。出演メンメン、どうも軽い。

 平日の午後3時前、窓外が急に、にぎやかになる。小学生のお帰りタイム。子どもたちの声にはたっぷりの“癒やし”が含まれている。時に口論もあるようだが、大人たちとは質が違う。耳にしていて楽しいのだ。 (編集長)