2022年5月号

“笑いをありがとう

 この国の政府は、時として国民に対し大きな「笑い」を提供してくれる。長引くコロナ禍、ウクライナへのロシアの侵攻問題など、暗く辛い世情に対する“清涼剤”なのかは知らないが、あの「5千円問題」、瞬時あきれ、笑いと涙が止まらなかった。

 4月は「値上げの季節」とも言われてきた。今年もまたそのレールに乗ってしまったようだが、とにかくこの年度替わりの月は生活用品をはじめ、あれもこれも続々高騰。その分、財布の中身が軽くなってしまうだけに、多くの市民も毎年、辟易だ。

 そんな中、政府はざっと2,600万人いる年金受給者への支給額のダウンに踏み切った。4月から実施されているわけだが、これに先立ち、政府・与党の重鎮は3月、減額補填のため対象者には「5千円を提供」と、“妙案”をぶち上げた。名称は、年金受給者臨時特別給付金。

 懐に入るお金は誰も歓迎する。だが、今回の5千円という額についてはしっかとした根拠も見えず、議論百出。さらには唐突、夏の参院選のためのばらまきなどなどの意見も止まなかった。結局、白紙に戻ったが、一連の騒動、児戯と映った。

 内外共に「笑い」のない沈鬱な世情が続く中での今回の特別給付金問題。政府が国民へのいたわり案として“抱腹絶倒”を狙い、提案してくれたのだろう。違っていたらチエのなさの露呈と思うことにした。 (編集長)