2022年12月号

マイナス要因、即、措置を

長年の“片腕”が遂に現役を引退した。といっても腕時計のこと。貧乏性のため、不用、破損類も捨てきれない。この腕時計もそうだが、社会はどうか。昨今、いや今年1年を振り返れば、さっさと処分したい異様な案件が多すぎた。どうだろう。

今、机の中で眠っているS社の腕時計は、電池式で角型・黒い盤。自称、イキな商品。机上での作業以外は常に右手に収まっていた。しかし、“勤続疲労”がたたったのか、再3の修繕を重ねたが、遂に“勇退”となった。

この時計を手にしたのは、30年ほど前、バブル景気が弾け始めた当時。本誌の創刊間もないころだった。折から高騰した地価は担保割れを起こし、影響を受けた社会全体が未曾有の不況に入った。倒産や人員整理、貧富の差は拡大し、その爪痕の深さは現在につながっている。

今、国内では七転八倒のコロナ禍対策、露とウクライナ紛争の余波で引き起こされた諸物価の急騰は留まるところを知らず。市民を翻弄して止まないカルト教団の“暗躍”も目に余る。マイナス要因は早めに措置しないと、暗い新年を迎えることになる。

10数年前。ベトナム旅行中に例の腕時計が電池切れ。仕方なく現地でS社のロゴを模した品を買ったところ、半日でストップ。大笑いの同伴者を横目に、あきれて即、処分した。まもなく新年。無駄のない年の到来を願う。皆様、よいお年を。   (編集長)