2023年4月号

学問、とても大事だが…

新年度、校舎がにぎやかだ。

学びの中で、「学問の神様」とされているのは鍾馗様と菅原道真公。高名とはいえ、一方は自死、片や左遷の憂き目。人生には常に艱難が待つ。学問は大事だが、良き友を得ることはそれに匹敵する。友は時に“救いの神にもなる。

5月の端午の節句時季になると、髭のいかつい大男の幟が方々に翻る。絵はご存じ、鍾馗様。中国の科挙制度でトップの状元となったものの、時の皇帝から容貌が気に入らないとして抹消。この“暴挙に愕然とした鍾馗様は自ら命を絶つ。後に彼の善行を夢の中で知った皇帝は悔やみ、姿絵として復活させた。

「東風吹かば…」の和歌で知られる平安時代の貴族、学者の道真公。「上皇を欺き、かつ惑わした」との讒言などによって九州・大宰府に飛ばされた。以前に作った歌を思い、京での生活に心を移していた、という。

両人とも後に名誉を回復、“神となって日本でも神社などに祀られている。学業は大切だが、これに勝るとも劣らないのが、信頼篤い友を得ることだ。神様たちの友人関係は知る由もないが、いたなら不遇なことはなかったのかもしれない。

漢詩の「少年老い易く…」(偶成=朱熹)。確かに人の一生は瞬時だ。自身、遊楽の誘い?に抗しきれず勉学に対しては後悔ばかり。友はなんとかできたものの、時は戻らず。ゆえに、“凡人としての日々は今日も続く。  (編集長)