
特集 | 東日本大震災 5,110日・14年の軌跡(上)後世へ

大地震、大津波、そして東電の原発事故。これら複合災害で未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、3月11日で丸14年が経過した。だが、この数字は“記号”。被災地いわきでも風化が語られる一方、甚大な被害を受けた市民は「昨日起きたことのよう」と話す。隔たりを生むのは、体験の差異。未経験の世代も増えている中、後世への伝承はどうあるべきか。取り組みを追った。
連載 | いわきを辿る!

浴客、ピーク時は50万
薄磯地区、次々に民宿誕生
かつて、薄磯の夏は異様にアツかった。気温ではなく、観光の話。
「幼い頃、家族で海水浴に行くときは薄磯を避けていました。人が多すぎたから」
地元の40代女性がこう述懐するほど、薄磯海水浴場にはにぎわいがあった。入り込み数は昨年17,000人ほどだったが、ピーク時の昭和53(1978)年には50万人を超えたというから、隔世の感だ。
フラワーセンター、市立美術館、アグリパーク、いわき回廊美術館などなど。現在の平地区にはさまざまな観光関連施設が立地するが、旧平市時代に限ると、観光の中核を担ったのは、やはり海水浴。
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