2025年9月号

“勉強足らんかった

「まだまだ勉強が足らんかった」。衆参両議員、いわき市長を三期務めた、故田畑金光さん。人生観をも含め、こんな言葉をよく口にした。その市長選が先ごろ行われた。いわき市は来年10月1日で誕生60年。社会が“高波”続きの中、新市長、どう舵を取るか。じっくり見たい。

新聞記者として走り回っていた30歳前後。毎日、市役所に入りネタ探し。当時の市長は、「野党」の田畑さん。1980年代だった。市議会議員は自民・保守系が多く、運営にかなり腐心していたようだ。
そんな日々の折、市長室でともに昼食をしながら情報交換。生意気盛りのため、口がツルリと滑り、やんわりとクギを刺されたことも1度や2度ではなかった。だが相手はさすがの大人、諭されたのを今でも思い出す。

四期目戦で敗れたが、当方、新聞から雑誌への職替えを伝え、年に数回は食事をしてきた。東大法学部卒のご本人の口からよく出たのが、「勉強不足」。現社会は不透明感、混沌さを増し、「苛政は虎よりも猛し」の面も垣間見える。新市長には「常に勉強」を忘れず、地に足の着いた行政運営を願うばかりだ。

いわき市も課題は多い。愚直に市政を担ってきた田畑さんは、2013年4月22日、99歳で逝去。12年間の手腕の賛否は別に、健在だったら果たしてどんな施政を行っただろうか。興味は尽きない。(編集長)