NEW!! 2025年11月号

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伊勢エビ、大量続くが…

自然界に異変は付き物だ。いわきの海でもここ1、2年、そんな状況が続いている。中でも伊勢エビの水揚げがすごいが、海には他の魚種もいる。原発事故から15年目。本格操業はまだまだ先という。
     
親潮(寒流)と黒潮(暖流)がぶつかる場所、潮目は魚のエサのプランクトンが豊富に集まる絶好の漁場。常磐沖もそうした海域の一つであり、昔からの漁業従事者たちの“宝庫”だった。
市内には多くの漁港があり、市場には四季を通じて豊富な常磐物が並んできた。近年は海流や水温の影響で種類にも変化。特に伊勢エビは小型舟も一度の刺し網漁で50~100匹を水揚げ。1匹当たりの値段は「100g 1,000円~」(鮮魚店)が相場という。

3・11の大津波、原発事故以来、漁業者は船舶などの立て直しを図り、出漁準備を急いできた。現在は「準備操業」(従事者)で、本格操業は2、3年先とか。伊勢エビばかりでなく、各種魚介の「豊漁」を願うのは漁業者だけではない。関連当局は、1日も早く安全操業へ向け果たさなければならない義務、責任がある。
     
記者は、市漁協の准組合員の資格を持つ。幼い頃、照島海域でたびたび父親と漁をした。エビは当時「カマクラエビ」と呼び、カレーライスの具で食べた。夏季は、アワビ、シュウリ貝も潜って採る漁業が中心の地域。海は生活の糧を得る“豊饒の舞台”だったのだ。(編集長)