山都の風景(一の戸橋梁)=1997年

山都の風景(一の戸橋梁)=1997年

 

| 月刊りぃ〜ど 2017年1月号掲載 | 

私は、相馬郡の新地町で生まれ育った。家の近くを流れる小さな川、標高300mほどの鹿狼山(かろうさん)は、子ども心に、大河や日本一の山のように思えたものだ。
 高校を卒業し、いつしか、古里の山河を顧みることもなくなっていったが、20年前、転勤で訪れた会津の山都町(現・喜多方市)で、飯豊山や阿賀野川を目にした私は、初めての会津にもかかわらず、何か古里を感じた。
 それは多分、心の中に潜んでいた原風景だったのか。今、新地の、あのころ遊んだ風景がとても懐かしく思えてならない。
 その会津で、新しい自分を発見、今では、山都町は第二の古里になっている。

●木版画・文 菅野伸是(中央台、なごみ庵店主)