千年の美(三春滝桜)=2006年

千年の美(三春滝桜)=2006年

 

| 月刊りぃ〜ど 2017年4月号掲載 | 

 人はどれだけ経験したことを記憶し、後世に伝え、残すことができるのだろうか。
 三春の滝桜は1,000年の時を経ても、春には豪華な姿で多くの人を魅了している。
 戦乱、大戦、そしてあの東日本大震災、原発事故まで見てきた滝桜は、復興の遅れや、いまだに県民を悩ませる風評被害をどう感じているのか。
 滝桜の声に耳を傾けると、「どんなに苦しくい時でも、必ず立ち上がってきたじゃないか。こんなことで負けるな」と、言っているように聞こえる。
 そんな声に、何度倒れても立ち上がる福島県民の姿を後世に伝えることが、いま生かされている私たちの使命なのかもしれないと、ひとりつぶやいている。

●木版画・文 菅野伸是(中央台、なごみ庵店主)