2022年8月号

ゲゲゲの鬼太郎や〜い!

 市の美術館で「水木しげる魂の漫画展」を見てきた。息子たちが幼かった頃、始まる前からテレビの前に同席させられたのは、ゲゲゲの鬼太郎一家が活躍する妖怪漫画。歌詞が今でもすぐに浮かぶのには笑ってしまうが、現世の姑息・陰険な妖怪たちと対比すれば、天と地の差を感じ、やるせなくなった。

 漫画展の会場には、鬼才、水木しげる(本名・武良茂)が描いてきた戦時中の絵も含め、数々の写真類も所狭しと並んでいた。各コーナーでは、彼が歩んできた半生のドラマも映像で紹介され、〝妖怪の世界〟を興味深く見つめる市民の姿も目を引いた。

 中でも「ゲゲゲ…」「悪魔くん」「河童の三平」の絵は、やはり人気。息子たちが幼かった頃、いたずらの度を超すと、「ほら、妖怪来るぞ!」と脅かした途端、即、固まっていたのを思い出す。

水木が描いた不思議な世界には数えきれない妖怪が出てきた。しかし、大層な悪さをすることなく、大体が丸く収まっていた。だが、現社会はまるで逆。露悪を代名詞とした〝魑魅魍魎〟が蟠踞、恒常化。ぜひとも、鬼太郎たちに助けを求めたい。

 「ゲゲゲ…」が世に出たのは、68年前の1954年、紙芝居で、だった。会場の売店では関連グッズが売られていた。くじ引きで「目玉おやじ」を狙ったところ、「ぬりかべ」が当たった。ウクライナとロシアの国境線に配備するのも悪くないか。(編集長)