2023年2月号

“原発に安全はないよ

驚(震)天動地、いや、朝令暮改でもいいか。あれほど大きな被害が出たにもかかわらず、「原発事故はすでに過去」とばかり、政府は昨年暮れ、“推進に舵を切った。理由はゴマンと付けているが、当局のメンメン3・11時の惨状、実際目にしたかー。変節ぶり、目に余る。児戯だ。

未曾有の大災害からあとひと月と11日で、12年の月日を刻む。沿岸一帯は地震による大津波に襲われた。さらには双葉郡の大熊、双葉両町にまたがる福島第一原子力発電所の一部が水素爆発し、放射性物質が拡散。近隣住民、いわき市民も緊急避難を強いられ、いまだに苦汁の日々を送る人々は多い。

爆発事故によって政府は翌年、「30年代に原発ゼロ」を打ち出し、代替えエネルギーなどについて検討。しかし、「喉元過ぎれば」か、露とウクライナ紛争にも乗じ、電力危機などを理由に「原発回帰」へ方向転換。「聞く耳」は雲散霧消か。

東日本大震災のとどめ”は、原発事故だ。その後の処理はどうなっているか。被災者への対応はどれほどの進展があるか。「原発に安全はないよ」。双葉郡から避難している知人が言い切った。耳に強く残る。

あの3・11当夜、編集部に一人残った。放射能の汚染から避難するため、地域一帯は人影なく深閑。浜の自宅は大津波で流失し、帰る場所がなくなった。瞬時、人生の終焉がよぎった。   (編集長)