2023年9月号

ボランティアに賛辞を

「災害は忘れたころに…」とは昔からよく言われたことだが、近年は忘れる暇なく頻繁だ。今年も各地で自然災害が起きて混乱が続く。が、いい情報もある。行政の対応に先んじ、窮状の現場へ駆けつけ、無償で活躍するボランティアが多いことだ。彼らに賛辞を贈りたい。

この国は通年、自然による災害が繰り返される列島だ。1年中、どこかの地域で大きな被害が出ている。被災地では尊い人命が奪われ、民家は破壊、田畑なども耕作不能となることもたびたびだ。
いわき地方では、12年半前の東日本大震災で災害の重さを十分すぎるほど体験した。特に、何度となく大津波に遭った海岸沿いは、言葉では言い表せないほどの惨状。民家、公共の建築物などは大破、ガレキと化し、手が付けられない状態だった。
震災時、“騎虎の勢い”で駆けつけ尽力してくれたのもボランティア。全国から多くの老若男女が片付けに日を費やしてくれた。この国には「結返し」という伝統文化があった。元々は農事関連から出た言葉だが、「お互い様」の精神、まだ強く残っていた。嬉しい限りだ。

一連の災害時、国当局、地方の自治体は、ボランティアたちの労を厭わない作業、スピード感をどう感じているか。折から季節は台風シーズン。万が一に備え、個々人も注意喚起は必須だが、行政側の迅速対応の可否、気になって仕方がない。(編集長)