NEW!! 2023年10月号

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“粗野だが、卑ではない

乱雑な言動が頻発している。例を挙げれば、無責任、あるいは根拠に乏しい言が針小棒大的にネットなどであふれ、人心を揺さぶる。実際、こうした粗暴な言葉を放射・連射する人間の気持ちは測りようがない。防止策はないものか。


「粗にして野だが、卑ではない」。第五代の国鉄総裁、石田礼助翁が国会に呼ばれ、並み居る代議士たちの前で自己紹介した折、発した挨拶の中の言葉だったそうだ。その石田翁は、自らの生涯をこの言葉通りに生きたという。
「粗と野」の要素は、誰もが持っている。だが、「卑」はまるで別なもの。極論すると、これを主として心に抱えた場合は、普段の生活の中でたちまち周囲との軋轢が生まれる。さらにその一端として、他人への誹謗や中傷も厭わないような性が棲みついてしまうこともあるだろう。
最近目立つ「卑」は、ネット中心のそれだ。原発の処理水問題などに関する罵詈雑言類などは極め付き。中でも「汚染水」と声高に謗る隣国には確か、人道につながる「仁・義・礼」を布教した“世界の偉人”がいたはず。いや、この人物ただの伝説で、実際にはいなかったのかもしれない。

世間では一朝、コトが起こると議論が百出することも多々ある。しかし、貴重な半面、まったく裏付けのない意見も少なくない。それにしても現今のネット社会、厄介だ。真贋に十分配慮しないと大事になる。(編集長)