2024年1月号

古代ローマから見えたもの

昨初冬に日帰り上京し、仕事を済ませた後、東京都美術館での“古代ローマ展”を知り、上野へ回った。巨大彫刻など、堂々の作品群に驚愕しきり。翻って、トラブル続く近現代。この新年以降、後世に称えられるものを残せるだろうか。ふと、思った。
40数年前。本誌で「雑感」に健筆を振るっている、前いわき市立美術館長の佐々木吉晴氏と出会ったのは。その当時、「美術、芸術作品は難しいな~」と尋ねると、「いっぱい見てください」。つまり、「機会を多くすれば理解も…」ということだった。
都美術館の「永遠の都ローマ展」。世界最古の美術館の一つ、ローマのカピトリーノ美術館からの収蔵品が主流。建国神話から古代の栄光、ルネサンスからバロックなど、美の歴史を連綿と展示。
「カピトリーノのヴィーナス」「ミケランジェロの肖像画」など約70点の彫刻、絵画、版画類。振り返ればこの国も過去に大いなる“血の歴史”を持つが、良質の「遺産」も余りある。比して今の国際社会。負の振幅が激しい。早めに揺れを戻し安寧の道への作品を構築しないと。
芸術品への理解度は低かったのだが、機会あるたび、美術館巡りを続けてきた。会場でじっくり鑑賞、画集も求めた。それにしても芸術の世界は奥が深い上、人々になくてはならない“絶対分野”だ。美術館巡りは新年からももちろん、今後も続けよう。ね、佐々木クン。(編集長)