子宮頸がんワクチンの被害実態の共有などを目指す「HPVワクチン問題を考える会―東北―」が3月17日、いわき市内で発足した。同様の趣旨を持った組織の立ち上げは、東北で初めて。
決起集会が小名浜、市観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」で開かれ、約60人が出席。会の規約が承認されたほか、昭和薬科大学=東京都=の長南謙一教授らが講演した。
このうち発起人の一人で、同ワクチンによる被害を訴える平田仁美さん(24)は、自身の経験を語った。
平田さんは市内在住で、中学一年時にワクチンを3回接種。それまでは健康体だったが、同二年時から体調を崩し始め、激しい頭痛、全身が飛び跳ねるような不随意運動、記憶障害、光過敏など、さまざまな症状が発現。現在は特殊な療法で改善傾向にあるものの、週2回程度の点滴が欠かせず、車いす生活などを余儀なくされている。
同会設立の意義については、「被害者が語ることのできる環境を作るこが重要。まずは私が被害者独自の視点で活動し、少しでも多くの被害者が、個々の生き方を肯定できるようになれば」と話した。
同ワクチンは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐとされ、厚労省が2009(平成21)年に初承認。13年4月に定期接種となったが、同年6月、接種後の体調不良を訴える声が相次ぎ、接種の「積極的勧奨」が中止となっていた。
16年には、副反応を訴える女性らが国や製薬会社に損害賠償を求め、4地裁に提訴。裁判の審理は今も続くが、国は22年に同ワクチンの積極的勧奨を再開している。