2024年4月号

日本人がいなくなる?

あとひと月もすると、初夏の日差しが降りそそぐ。と、帽子の愛用者が多くなる。この季節に限ったものではないが、最近、飲食店などでは被ったまま食事をする大人たちがやたら目に付く。大いに気になる。このマナー、どうしたものか。

自宅に帰れば、帽子は必ず取る。被ったまま食卓に着いたら注意を受けるのは当たり前。叱責もある。今も昔も家庭という小社会におけるルールの一つだった。さらには敷居や畳の縁にも気を配り、米俵に腰を下ろすなどはもってのほかといった“常識”もよくよく教えられた。
時を経て、衣服類は様変わりを続けてきた。例えば帽子。歴史は古く、時代を経るごと形、色合い、デザインなどに工夫を凝らした人気商品が出回る。草木が萌え始める季節にもなると、カラフルな帽子の愛用者たちで街中は一層華やかさを増す。
こんな中、最近は店内でも被ったまま食事を楽しむ人も少なくない。若者に限らず中高年の男女も。店自体、着用に対して無関心なのかどうか別に、こんな光景に出会うと「日本人がいなくなってしまう!?」と、つい力が入ってしまう。余計なお世話か。

子どものキャラクター入りの帽子姿などは、ことの外かわいい。半面、粋のつもりか、愛用品を斜にかぶり、赤絨毯の国会内を揚々と闊歩する御仁もいる。時折テレビで散見するが、彼にはある意味で“脱帽”だ。(編集長)